

学生時代は友達と集まってワイワイガヤガヤ勉強していたけれど、就職してからは一人で勉強しなければならない。
友達となら教え合ったり、問題を出し合ったりできたけれど、一人で勉強するってどうやれば良いんだろう?
これまでは友人と一緒に勉強するスタイルだったのに、就職してからは一人で勉強するスタイルにしなければならないという悩みですね。
そんなあなたには、読書猿さん著『独学大全』をオススメします。

勉強の仕方は人それぞれ。
一人で勉強する方が合う人もいますし、友人や同僚とワイワイガヤガヤ勉強するのを好む方もいます。
しかし、仕事をしながら勉強するとなると、一人で孤独に勉強することの方が圧倒的に多くなるのではないでしょうか。
そんなあなたに、一人で孤独に勉強すること、すなわち『独学』の方法がかかれた一冊を紹介させていただきます。
この記事を書いた人

理学療法士のまじぃです。
私は学生時代から基本的に一人で勉強、つまり『独学』をするタイプでした。
就職してからも『独学』を続け、公認心理師試験や、認定理学療法士試験などに合格しています。
もちろん、試験対策以外にも普段から臨床に関する勉強・学習は続けています。
そんな『独学』派の私が、もっと若いうちから知っておきたかった方法・知識・テクニックが書かれた『独学大全』を紹介します。
独学大全
今回オススメするのは、読書猿さんの著書、『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』です。
ちょうど2年前に発刊されましたが、今では20万部を超えてしまったベストセラーです。
各所で話題になったので、読んだことはなくても目にしたことがあるという方は多いかもしれません。
読書猿さんとは
まず、著者の読書猿さんとは何者なのでしょう。
ブログ「読書猿 Classic: between/beyond readers」主宰。「読書猿」を名乗っているが、幼い頃から読書が大の苦手で、本を読んでも集中が切れるまでに20分かからず、1冊を読み終えるのに5年くらいかかっていた。
自分自身の苦手克服と学びの共有を兼ねて、1997年からインターネットでの発信(メルマガ)を開始。2008年にブログ「読書猿Classic」を開設。ギリシア時代の古典から最新の論文、個人のTwitterの投稿まで、先人たちが残してきたありとあらゆる知を「独学者の道具箱」「語学の道具箱」「探しものの道具箱」などカテゴリごとにまとめ、独自の視点で紹介し、人気を博す。現在も昼間はいち組織人として働きながら、朝夕の通勤時間と土日を利用して独学に励んでいる。
読書猿:独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
一言で言うと、独学で成り上がった人でしょう。
読書が苦手だった人が、苦手克服のために独学をひたすら続け(しかも働きながら)、メルマガやブログでの発信を続けた結果、20万部のベストセラーとなる書籍を著す。
シンプルにすごいですよね。
そんな方がご自身の経験や、これまでの独学の経験の中で培ってきた技術・方法をまとめているのが、この『独学大全』です。
とにかく読みやすい
書店などで見かけたことがある方はわかると思いますが、この『独学大全』、何も知らずに見ると引いてしまうくらいに分厚い書籍です。
巻末の索引を除いても、752ページあり、辞書くらいの分厚さとなっています。
それだけの情報量が詰まった一冊ということなのですが、驚くのはその読みやすさです。
この辞書みたいな分厚さの本が、すんなり読めてしまうのです。
それは、読みやすくなるための工夫がたくさんなされているからなのですが、読みやすさに加えて使いやすさにも配慮されています。
まとめると、次の3つが本書の特徴です。
「独学大全」の配慮
- 全体が「無知くん」と「親父さん」の対話形式で進行する
- 巻末に索引あり
- 通常に索引に加え、「独学困りごと索引」あり
著者の読書猿さん自身、もともと読書が苦手だったということもあり、読書が苦手な人の気持ちがわかるからなのでしょう。
全体の流れが独学をしたいけれどなかなかできない「無知くん」と、独学の仕方を教えてくれる「親父さん」との対話形式で進みます。

ずっと単調な文章ばかりが続くと、眠くなったり集中が続かないんですよね。
そんな読書が苦手な方にとって、対話形式は非常に読みやすいですよね。
各章の冒頭が対話形式になっているので、集中もリセットしやすく、流れも把握しやすくなっています。

対話形式とは、このような形ですね。
通読する場合には、このような対話形式がとても助けになります。
しかし、通読するという方法以外に、辞書のような使い方も想定されており、索引が設けられています。
通常の50音順の索引に加え、「独学困りごと索引」があるのです。
例えば、752ページもある『独学大全』を前にどうしたら良いかわからなくなったときは、「独学困りごと索引」の「この本が分厚すぎて心が折れそうと思ったら」のところを見てみます。
すると、<本書の構成と取説><技法35 必要なものだけを読み取る「掬読Skimming」>の2ヶ所が提案されます。
このように、勉強している最中に生じた困りごとに応じて、必要な部分だけを読むという使い方ができるように配慮されているのが大きな特徴です。
内容はとにかく濃く深い
当然のことながら、『独学大全』のすごさは読みやすさ・使いやすさだけではありません。
書かれている内容も、幅広く、かつ深いのです。
例えば、理学療法士は多くの論文を読み漁ることが多いでしょう。
読んだ論文の内容を全て覚えていられる人ならば良いのですが、そんな人は多くないはずです。
全て覚えていると思っている人こそ、『独学大全』は読みでみた方が良いかもしれません。
このようにたくさんの論文を読んだとき、その内容はどのように整理していますか?
『独学大全』では、<目次マトリクス><引用マトリクス><要素マトリクス>といった技法が紹介されています。
これらの技法は、その論文に書かれた内容をエクセルシートなどにまとめてマトリクスの形にしていくというものなのですが、そう聞くとこんな風に思う方も多いでしょう。

論文を読むだけで大変なのに、エクセルにまとめていく手間や時間がもったいないよ
そう思う気持ちもわかるのですが、勉強を続けていくと、必ず情報量と記憶力(記憶容量)とのギャップに悩まされるときが来ます。
試験勉強をする上では限られた知識を入れていくだけで良いので何とかなりますが、臨床や研究では限りない知識を延々とインプット・アップデートしていく必要があるため、必ず苦しくなってくるときが来ます。
そんなときに備えて、若いうちから知識や情報をまとめていく癖をつけておくと、中堅くらいになってから新人・若手の頃の自分に感謝することになるでしょう。
そんな実用的な技法がたくさん書かれているのが、今回紹介する『独学大全』なのです。
唯一のデメリット
こんな分厚く、濃厚な情報が書かれた『独学大全』ですが、一つの大きなデメリットがあります。
それは、分厚いということです。
つまり、持ち運びには全く適さないのです。
辞書のような特徴を持っている以上、出先で参照したくなるときがあるでしょう。
そんなとき、752ページもある辞書のような本を常に持ち歩くというのは無茶ですよね。
安心してください。
Kindle版が出ています。
Kindle版であれば、データとして持ち歩き、必要なときにスマホやタブレットで参照することが可能です。
▼Kindle版を考えている方にはiPadやKindle Paperwhiteがオススメ▼
ということで、唯一のデメリットも潰されてしまいました。
こんな完璧な書籍はなかなかありません。
20万部売れたというのもうなずけますね。
まとめ:誰もが孤独に勉強している

以上、『孤独に勉強するすべての理学療法士にオススメの一冊』と題して、『独学大全』を紹介してきました。
私個人の意見としては、勉強は結局一人でするものです。
みんなでワイワイガヤガヤやったとしても、知識を定着させるためには一人で復習する時間は少なからず必要だと考えています。
就職してから、同僚に恵まれればワイワイガヤガヤ勉強するという方々もいるでしょう。
しかし、多くの職場ではそんなことは難しいはず。
「みんな集まって勉強しようよ」なんて言うと、勉強する気のない同僚とのギャップが生じてしまったりもします。
ぜひ『独学大全』を参考に、一人でも勉強できる技術と習慣を身に付けておきたいですね。