

自分なりにリハビリを頑張っているつもりだけど、成果・効果が感じられない。
成果・効果が感じられないと、モチベーションも下がってきてしまいます。
やり方が悪いのかな…
成果が得られない・感じられないリハビリを続けるのは大変辛いことですよね。
言ってしまえば、時間を浪費しているということです。
やり方の問題もあるかもしれませんが、実はリハビリを始める前の問題かもしれません。

患者さんや利用者さんのリハビリテーション(以下リハビリ)に関わる仕事をしていると、リハビリの成果が上がりやすい方と上がりにくい方の違いというのが見えてきます。
そして、成果が上がりにくい方というのは、成果が上がらないのでモチベーションも低下しやすく、モチベーションが上がらないと成果も得られにくくなっていくという、負のスパイラル・悪循環に入っていってしまいます。
▼リハビリのモチベーションについてはこちらの記事も参照ください▼
実は、リハビリへのモチベーションを高めるためにも、成果を得られやすく・実感しやすくするためにも、更にはリハビリ自体の効果を高めるためにも、必要なことは一つだけです。
この記事では、リハビリの効果を高め、ご本人も成果を実感しやすく、ご本人も担当療法士もモチベーションを高めることに繋がる、魔法のような一つの方法について書いていきます。
なので、この方法について知ると、リハビリの効果・成果を高め、実感してしまうことになります。
よって、次のような方はここでブラウザを閉じていただくことをオススメします。
いえ、必ず閉じてください。
こんな方は読まないでください
- リハビリの成果・効果を高めたくない方
- リハビリに対するモチベーションを高めたくない方
- 行き当たりばったりの人生・生活・リハビリを愛する方
- 「やっても無駄」と言ってリハビリを辞めてしまいたい方
- 患者さん・利用者さんのリハビリを無駄なものにしたい療法士
- 患者さん・利用者さんの時間を浪費することで単位を稼ぎたい療法士
まだ読んでいますか?
わかりました。それでは、その方法についてお伝えしましょう。
ブログはPREP法で書くのが良いとのことなので、結論から書きましょう。
リハビリの成果・効果を高め、それを実感しやすくし、モチベーションを高めるための方法。
それは、リハビリを行う『準備』です。

は?
もったいぶった割に『準備』って。
そんなの当たり前にやっていますよ。
もう読むのやめて良いですね。
まぁまぁ、ちょっと待ってください。
どうしてもやめたいなら止めはしませんが、せっかくここまで読んでくれたアナタには損して欲しくないのです。
できれば、『準備』の意味するところだけでも読んでから判断してください。
(自己紹介は飛ばして結構ですよ)

この記事を書いている人

理学療法士で公認心理師のまじぃです。
理学療法士として10年以上の勤務経験があり、、病院やデイケア、訪問看護ステーション(現職)でみなさんのリハビリに携わっています。
加えて、日本で唯一の心理職国家資格である公認心理師という資格も取得しました。
つまり、理学療法士の中では心理学について勉強していると公に言える人です。
そんな立場を利用し、直接関わることのできない患者さん・利用者さんのリハビリのお手伝いをしたいと活動しています。
リハビリの『準備』とは?
リハビリを行う『準備』とは何か?
私の考える『準備』では、次の4つのステップを踏みます。
リハビリに取り組む準備
- 何のためにリハビリに取り組むのかを考える(動機)
- リハビリに取り組むことで得たいもの・取り戻したいものを考える(目標)
- どうしたらそれが得られるか・取り戻せるかを考える(方法)
- どうしたら成果を実感し、効果を確認できるかを考える(予測)
いかがでしょう?
これらの『準備』をしっかり行った上でリハビリに取り組んでいるという方は、ここでブラウザを閉じていただいて結構です。
これら4項目のうち1つでも「ちゃんと考えてなかったな」「療法士任せにしてたな」と思うような項目があれば、続きを読んでいただくことをオススメします。
これだけだとよくわからないかもしれないので、一つずつ説明していきますね。
①何のためにリハビリに取り組むのかを考える(動機)
これはリハビリに取り組む大前提と言えるものです。
入院中の方であれば、「家に帰るため」とか、「歩けるようになって元の生活に戻るため」とかかもしれません。
動機付け、つまりモチベーションの大元になるものですね。
これがなければモチベーションが高まらない・下がってしまうというのも当然のことだと言えます。
②リハビリに取り組むことで得たいもの・取り戻したいものを考える(目標)
これは人によって様々な抽象度の目標が挙がるでしょう。
①にも関連していて、被る場合もあると思います。
例えば、「歩けるようになる」とか「歩けることで家に帰ってから買い物に行ける」とかいったものです。
①で考えたリハビリを行う動機に向かうため、より具体的に目標を立てるというプロセスでしょうか。
③どうしたらそれが得られるか・取り戻せるかを考える(方法)
これは目標に向かうための方法を考える段階です。
ざっくり言えば『歩行練習』とかになりますが、病気やケガ、体の状態によって様々な方法を考え実行する必要があります。
そして経過によって、方法は適宜変更していくことも必要になります。
最善だと思われた方法が、やってみたら上手くいかないという場合もありますからね。
おそらく理学療法士が最も関われるのがこの段階でしょう。
④どうしたら成果を実感し、効果を確認できるかを考える(予測)
これが一番ややこしい段階かと思います。
例えば、『歩けるようになる』という目標を立てていた場合、現状の『歩けない』がなぜなのかを考えていないと、③の方法によって改善したのかどうかが判断できません。
一言で『歩けない』と言っても、『速く歩けない』場合もあれば、『立ってるのも不安定で、一歩も歩けない』という場合もあります。
『速く歩けない』場合であれば、10mを歩く時間を測って歩行速度を計算しておくことで、歩行速度が改善したことを確かめることができます。
『立っているのが不安定』という場合、バランスの検査で得点を出しておくと、それが改善の指標にできるかもしれません。
このように数値として表せる客観的な指標もありますし、もっと主観的な指標も考えられます。
『左足のつま先に重さをかけるのが不安で、踵でしか踏めない』みたいな場合です。
体重計を使うなどして数値化することも可能ではありますが、ご本人としては「つま先にグッとくる感じ」を感覚的に感じられた方が改善を実感できるのではないでしょうか。
そしてこのような成果・効果を実感したり確認できる指標をあらかじめ考えておくことで、改善のためにとる方法、つまりリハビリや練習の内容が理解しやすくなるというメリットが考えられます。
これは動機付けや目標設定にも繋がりますし、方法の軌道修正にも役立つでしょう。
『準備』としては一番重要な段階と言えるかもしれません。
なぜ『準備』が必要なのか
『準備』が必要な理由、それは、『準備』をしていないとリハビリがあなたにとっての『意味』を持たないからです。
そしてここで言う『準備』とは、他の誰でもない、アナタにとっての『準備』です。
例を挙げて考えてみましょう。
Aさんのリハビリ
ある日突然、脳卒中で倒れてしまい、目が醒めると病院のベッド。
意識が朦朧とした状態で「リハビリだ」と連れ出され、何が何だかわからない状態でリハビリが始まる。
少しずつ意識はハッキリし、自分は脳卒中で倒れてしまった、退院して家に帰るためにはリハビリが必要であると理解し、リハビリに取り組む。
リハビリの内容は担当の療法士が考えてくれ、自宅に戻るために必要な練習を提案してくれる。
療法士が作ってくれた計画書の説明を受け、サインする。
リハビリのことは門外漢の自分にはわからない。医師や療法士の指示に従おう。
そしてあっという間に入院の期限が迫り、退院に向けて慌ただしく動き始める。
「あれ?もう終わり?」と思いながら、リハビリとはこんなものだと理解して退院していく。
倒れる前の体には戻らず、退院してからもリハビリを続けることになった。
「リハビリっていつまで続けるんだろう…」
これ、誰のためのリハビリですか?
Bさんのリハビリ
ある日突然、脳卒中で倒れてしまい、目が醒めると病院のベッド。
意識が朦朧とした状態で「リハビリが必要だ」と説明を受ける。
よくわからないながら、現状の説明を受け、リハビリの方針や内容についても説明を受ける。
リハビリの進行に伴って、ことあるごとに担当療法士は「Bさんはどう思いますか?」と聞いてくれる。
よくわからないながら、自分のことを一生懸命考える。
何のためにリハビリを行うのか、リハビリによって何が得たいのか、どんな方法が良いのか、何によって成果や効果を確認できるのか。
そんなことを担当療法士と話し合い、相談しながら、少しずつリハビリの輪郭をハッキリさせながら、リハビリに取り組む。
入院の期限が迫り、退院に向けて慌ただしく動き始める。
倒れる前の体には戻らず、退院してからもリハビリを続けることになった。
「リハビリがいつまで続くかわからないけれど、次にやるべき課題はハッキリしている」
2人のリハビリは何が違ったのか
現実にはほぼ有り得ませんが、AさんとBさんの脳卒中の症状や経過は全く同じだったとしましょう。
脳卒中によって損傷した脳の場所も同じ、症状の回復経過も全く同じ、退院したときの体の状態も全く同じです。
入院した期間、かかった時間も同じ。
それでも、2人のリハビリは全く違うものになったはずです。
一番違ったのは、本人にとっての意味でしょう。
そしてこの違いを生んだもの、それが『準備』をしたか否かです。
実際には、2人の発症時点の状態が全く同じだったとしても、2人の経過がこのように異なった場合、退院時の体の状態は違うものになっていることでしょう。
『準備』の有無はリハビリの成果・効果にも違いを生むはずですから。
それは容易に想像できるのではないでしょうか。
しかし、改善度合や体の状態が全く同じだとしても、本人にとって意味は『準備』によってこれだけ変わってくるのです。
これは『準備』をしないことが時間の浪費に繋がったと言い換えることもできます。
準備のために必要なのは話し合い
実は、リハビリを行う上で『準備』しなければならないということが制度上定められています。
『準備』のために作成される書類が、リハビリテーション総合実施計画書とか計画書と呼ばれるものです。
本来、ご本人やご家族の意向を汲んだ担当療法士が計画書を作成し、その内容に合意した上でリハビリを開始する。
おそらくどこの病院でも施設でも行われていることです。
では、この計画書の作成に、患者さん・利用者さんであるアナタは、どれだけ関わりましたか?
計画書の作成にあたって、ご自身の意見を言いましたか?
この記事でずっと言っているリハビリに取り組む準備のためには、療法士と患者さんが時間をかけて話し合うということが重要だと考えています。
なぜなら、患者さんはリハビリというものについてほとんど何も知らず、それによって何を得られるのか、何が期待できるのかも分からない状況です。
そのような状況のままで目標を立てようとしても、非現実的なものになるか、無難なものにしかならないでしょう。
しかも患者さんの多くはリハビリ開始時点で混乱しています。
現状を受け止めることが難しく、先行きに不安を抱えています。
そんな状態で、目標なんて立てられます?
そこで必要なのが、時間をかけて話し合うことです。
それっぽく言えば、カウンセリングと言っても良いかもしれません。
このようなカウンセリング・話し合い・会話を時間をかけて行う中で、患者さんは動機・目標・方法を明確にしていくことができ、療法士の側も患者さんが本当に求めているものは何かを把握することができます。
これによってリハビリの効果も得やすくなりますし、効果が実感できればモチベーションの低下も防げることになるでしょう。
なぜ話し合えないのか
実際、目標設定の重要性だったり会話の重要性を認識している療法士は少なくないと思います。
ただ、現実的にはそこに時間をかけることが難しいという事情があります。
これは保険制度だったり病院(事業所)の経営上の事情という側面が大きいと思うのですが、療法士がゆっくり患者さんと話をする時間はあまりありません。
診療報酬というものの設計上、計画書を作ったことで得られる報酬はありますが、そこに時間をかけようが簡単に済ませようが、同じ金額です。
そうした相談業務(?)に時間をかけてしまうと、有限である療法士の時間という資源を(経営的に)非生産的な部分に割くこととなってしまい、経営者としては容認できないものでしょう。
こう言うと「病院も金儲け主義なのか!この拝金主義者どもめ!」みたいなことを言われそうですが、経営が立ち行かなくなると病院は当然閉鎖されてしまいます。
仮にその病院がリハビリ専門のような体制をとっている200床の病院だった場合、本来リハビリを受けることができたはずのリハビリを必要とする患者さん200人が病床の不足によってリハビリを受けられないということになります。(実際はもっと複雑でしょうが、話を簡単に)
しかも、多くの病院職員が職を失うということにもなってしまいます。
こうした事情を踏まえると、療法士は患者さんとの相談業務(?)に時間をかけるよりも、リハビリの実施に時間を使った方が有益と判断されることになります。
そして療法士もこのような事情を知ってか知らずか、患者さんと時間をかけて話し合うなんてことはしなくなっていきます。
療法士の多くはカウンセリングなんかできない
そもそも、療法士の多くはカウンセリングなんかできません。
こんなことを言っている私自身、公認心理師を志して勉強を始めるまで、カウンセリングの方法論など学んだことはありませんでした。(実際には公認心理師取得のためにもカウンセリングの方法論を学ぶ必要はない)
療法士の中には心理学を勉強している人もいますし、特に神経心理学なんかは脳血管疾患の臨床に携わる上では必須の知識だったりします。
しかし、心理学とカウンセリングは似て非なるものです。
混同されやすいように思いますが。
話の聞き方、目標の立て方、患者さんの心理面への対応、そういったものを専門的に学ぶ機会はほとんどないのが実情です。
だとすると、仮に病院経営者が突然「リハビリ前にはしっかりカウンセリングして目標設定を行い、その上でリハビリをしよう!」なんて言ったとしても、そう簡単に実行することはできないかもしれません。
大切なのは人任せにしないこと
ここまで、リハビリに取り組む患者さんにとっては酷なことばかり書いてきてしまったように思います。
しかし、中途半端に希望を持たせても仕方ないので、こんな書き方をしています。
このような現状を踏まえ、患者さんはどうしたら良いのか、どうやってモチベーションを高め、保っていけば良いのかを書いておきたいと思います。
大切なのは、人任せにしないことです。
モチベーションを高めるためには内発的動機付け、つまり自分自身で「やろう」「頑張ろう」と思えることが重要です。
▼モチベーションについてはこちらの記事も参照ください▼
リハビリを誰か(多くは療法士)にしてもらうものと捉えてしまうと、人任せになってしまいます。
リハビリは、自分で目的や目標を定め、自分で取り組むものです。
自分が何をしたいのか、何のためにリハビリに取り組むのか、取り戻したいものは何なのか。
そんなことを考えておけば、療法士はそれに向けた方法を提案してくれます。
療法士はあなたにリハビリをしてくれる人ではありません。
あなたがリハビリに取り組む上で、療法士を利用・活用するのです。
療法士も人間です。何でもはできません。
けれど、多くの療法士は患者さんのためになることに取り組みたい、患者さんと向き合いたいと思っています。
八百屋さんは野菜を売ること、漁師さんは魚をとることが専門であるように、理学療法士は理学療法の専門家、作業療法士は作業療法の専門家です。
専門家の中で知識や技術に差はあるかもしれませんが、専門性は専門性です。
専門性を活かせることであれば、きっとあなたの力になれるはずです。
私たちを上手く使ってください。

確かに計画書の説明を受けたけど、鵜呑みにしてたかも。
これじゃ自分で『準備』していたとは言えないな。
仕事でも何でもそうだけど、主体的に取り組んだ方が成長できるもんな。
担当の療法士さんと目標とかリハビリの方法について話し合ってみようと思います。
それが良いかもしれません。
クレーマーになれと言う訳ではなく、アナタの抱えている不安や疑問を正直に担当療法士に伝えていただければと思います。
全てを叶えることは現実的に難しいですが、きっと力になれる部分があるはずです。

まとめ
この記事では、リハビリに対するモチベーションが上がらないときにどうしたら良いのかについて書いてきました。
患者さんにとっては酷なことばかり書いてきてしまいましたが、モチベーションを高めるために必要なのは、人任せにせず、リハビリに取り組む準備をするということです。
この準備とは、以下のものでした。
リハビリに取り組む準備
- 何のためにリハビリに取り組むのかを考える(動機)
- リハビリに取り組むことで得たいもの・取り戻したいものを考える(目標)
- どうしたらそれが得られるか・取り戻せるかを考える(方法)
- どうしたら成果を実感し、効果を確認できるかを考える(予測)
これを全て一人で準備するというのは、なかなか難しいことかもしれません。
誰かの助けを必要とすることもあるでしょう。
一人でグルグル悩んでしまうくらいであれば、ご家族や友人に相談した方が良いかもしれません。
リハビリを中断してでも療法士に相談した方が良い場合もあるかもしれません。
誰かに頼るということは、人任せにするということとは違います。
誰かに頼るということを、自分自身で決められたということです。
人任せにせず、しっかりと準備をして、リハビリに取り組んでいただければと思います。
そうは言っても、なかなか相談する相手がいないとか、担当の療法士に相談するのは気が引けるとか、そんな方もいらっしゃると思います。
私自身、ココナラでそのような相談を受けるサービスを提供しています。
顔を合わせることなく、メッセージのやり取りで相談をお受けするという形をとっていますので、いつでもどこでも相談できますし、もちろんプライバシーも守られます。
どうぞ、気軽にご相談ください。
あなたのリハビリに関するお悩み解決します 【理学療法士】×【公認心理師】がメッセージでカウンセリング!