

リハビリに取り組んでいるけれど、モチベーションが上がりません。
こんなとき、どうしたら良いのでしょうか。
リハビリ・リハビリテーションに限りませんが、高いモチベーションを維持し続けるのは難しいものです。
今回は、モチベーションが下がったときに考えたいこと、対策について紹介します。

リハビリテーション(以下リハビリ)に取り組むとき、ずっと高いモチベーションを維持することは難しいです。
これはリハビリに限ったことではありませんよね。
勉強でもビジネスでも、高いモチベーションを維持し続け、長い期間努力を続け、成果を出し続けるなんて、誰にでもできることじゃありません。
この記事では、リハビリへのモチベーションを上げるためにどうしたら良いのか、モチベーションが下がったときにどうしたら良いのかについて書いていきます。
こんなあなたに読んで欲しい
- リハビリのモチベーションが下がってしまった
- リハビリが辛い
- リハビリにどう向き合えば良いかわからない
- 何のためにリハビリをするのかわからない(目標を見失ってしまった)
この記事を書いた人

理学療法士で公認心理師のまじぃです。
理学療法士としての勤務経験は10年を越え、病院やデイケア、訪問看護ステーション(現職)でみなさんのリハビリに携わっています。
加えて、日本で唯一の心理職国家資格である公認心理師という資格も取得しました。
つまり、理学療法士の中では心理学について勉強している部類だと思います。
そんな立場で、リハビリに対するモチベーション、リハビリに必要な心理的な面について書いています。
リハビリのモチベーションを高めるためのポイント2つ
結論から言いましょう。
リハビリへのモチベーションを高めるために必要なことは、2つあります。
1つは、リハビリに取り組む準備をすることです。
これだけでは伝わらないかもしれません。
もう少し噛み砕いて説明すると、次のような項目に分解できます。
リハビリに取り組む準備
- 何のためにリハビリをするのか・したいのかを考える(動機)
- リハビリに取り組むことで得たいもの・取り戻したいものを考える(目標)
- 何をどうしたらそれが得られるか・取り戻せるかを考える(方法)
細かい内容は人や状況によって多少異なるかもしれませんが、概ねこのようなことを考えて準備すべきだと考えています。
そしてもう1つは、リハビリの成果を実感することです。
どれだけ高いモチベーションを持っていても、成果が実感できないと次第にモチベーションが低下してしまうのは当たり前のことです。
ここからは、そもそもモチベーションとは何か、どうしたら上がるのか、どうしたら保てるのかについて考えていきます。
モチベーションとは何か?どうすれば上がるのか?
そもそも、モチベーションとは何でしょう?
カタカナ語になっていますが、元々は英語のmotivationという単語です。
この単語の意味するところは次のようなものです。
動機づけのこと。個体の行動を引き起こす動因。また、そういう動因を与えること。動機づけの動因としては欲求、均衡の破れた状態、または緊張状態などが考えられている。学習指導の場合は、学習意欲をかきたてること。特に、導入の過程で関心を引き出すことをいう。
コトバンク
この意味から考えると、『リハビリに対するモチベーション』とは『リハビリに取り組むという行動を引き起こす動機づけのこと』と説明できます。
平たく言えば、「リハビリしよう!」「リハビリしたい!」という気持ち、そんな気持ちを起こす原因(理由)のことですね。
つまり、『リハビリに対するモチベーション』が上がった状態というのは、「リハビリしよう!リハビリしたい!」と強く思うということでしょう。
このモチベーションが上がるのは、2つの動機付け、すなわち『外発的動機付け』と『内発的動機付け』によるとされています。
『外発的動機付け』は、周りから言われたりするなど、自分の外からの働きかけ(誘因)によって動機付けられることを言います。
『内発的動機付け』は、自分の中から湧き上がってくるような、希望だったり意志だったり(動因)によって動機付けられることを言います。

あれ?周りから言われると、逆にやる気を失ったりしません?
子どもの頃、勉強しようと思ったところに「勉強しなさい!」と言われてやる気を削がれた経験があります。
そうなんです。
なので『外発的動機付け』も必要な場合はあるけれど、『内発的動機付け』の方がモチベーションアップにつながりやすいんです。

というように、できれば『内発的動機付け』によってモチベーションを高められた方がモチベーションは持続しやすいし、それによってリハビリの成果も高まりやすいと考えられます。
そもそも“リハビリしたくない人”にリハビリに取り組むように仕向けるのは至難の業ですからね。
『タバコをやめよう』なんて1ミリも思っていない人に「タバコやめなさい!」なんて言っても、やめるはずがないのです。
このようなことから、リハビリに対するモチベーションとは、リハビリに取り組もうとする動機付けのことで、『内発的動機付け』によってモチベーションを高めていくことが有効だと考えられます。
モチベーションが低下する原因
リハビリをする準備ができていない
では逆に、リハビリに対するモチベーションが低下してしまう原因を考えてみましょう。
特に、患者さん自身がモチベーションを高められない原因、つまり『内発的動機付け』が得られない原因を考えてみます。
例えば、次のような原因が考えられます。
モチベーション低下の原因
- 目標がない(取り組む理由がない)
- ご自身の状態を認識できていない(目標も取り組む理由も生まれない)
- 改善することを信じられない
- 努力に見合った成果が得られない
- 予想に反して時間がかかる
- 他の不安要素の存在
他にも色々あるかもしれませんが、ざっと挙げてみました。
これらを大雑把にまとめてしまうと、モチベーション低下の原因は次の一つに集約できてしまうと思っています。
リハビリに取り組む準備ができていない
この一言に尽きます。
こんなことを言うと、「自分が悪かったのか…」なんて思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、違います。
絶対に、明確に違います。
制度的な問題、仕組みの問題だと考えています。
だって、
リハビリに取り組むかどうかを決断するタイミングなんてありました?
リハビリがどういうものか、どれくらいの時間をかけて説明されました?
もしもあなたが、自宅で生活されながら外来等でリハビリに取り組んでいる方であれば、いつでも通院をやめることができるでしょう。
そのような場合、リハビリに取り組むかどうかを決断するタイミングはいくらでもあります。
けどそれは、入院中にリハビリを受けていたから、継続した方が良いと医師や療法士に言われたから、みたいな理由だったりしませんか?
それでは内発的動機付けとならず、モチベーションを上げてリハビリに取り組むというのは難しいでしょう。
多くの場合、気付いたら病気やケガ、それに伴う手術なんかで入院を余儀なくされ、半ば強制的に、自然な流れで、さも当然のように、ある日リハビリが始まります。
それは医師から言われるかもしれませんし、医師から指示を受けた療法士が部屋にやって来て始まるかもしれません。
そして、腹を割って話をする間もなく療法士が作ってきたリハビリテーション総合実施計画書を見せられて説明を受け、サインを求められ、よく知りもしない『リハビリ』が始まるわけです。
もちろん、リハビリをする必要がないなんて言うつもりは毛頭ありません。
家に帰るために、仕事に復帰するために、自分自身を取り戻すために、リハビリに取り組むことは必要なことです。
大事なことなので、もう一度言っておきます。
リハビリに取り組む準備ができていない
これが問題なんです。
日々の成果を実感できない
リハビリのモチベーションが高まらないもう一つの原因として、日々の成果を実感できない・感じられないことが挙げられます。
高まらないと言うよりは、維持できない原因と言った方が良いかもしれません。
どんなに高いモチベーションを持っていようと、頑張った分の見返りがなければモチベーションを保つことはできません。
そして、これは前述の準備ができていないことにも関係していて、準備がしっかり整っていないがゆえに日々の成果を実感できない場合が多くあります。
例えば、次のような場合です。
- 目標設定が大雑把すぎる場合(設定した目標がなかなか達成できない)
- 指標がなく、達成したことが確認できない場合
- 自分の現在地がわからない・現状が認識できない場合
このような場合、頑張ってリハビリに取り組んでいるのに、その成果が得られない、意味がないと感じてしまうでしょう。
このような成果を実感できない理由を一つずつ解決していくためには、次のような取り組みが必要になるでしょう。
成果を実感するために必要なこと
- 大きな目標と小さな目標を設定し、日々の小さな成果を確認できるようにする
- 目標設定に明確な指標や基準を盛り込む
- 現時点での自分の状態を見つめ、知り、向き合う
リハビリのモチベーションを高めるためにも、それを維持するためにも、結局は準備を整えた上で取り組むことが必要だと言えるのではないでしょうか。
日々のリハビリで成果が感じられないことでモチベーションが低下してしまったときは、一度立ち止まって準備に時間をかけることで、再び一歩を踏み出せると思うのです。
まとめ

この記事では、リハビリに対するモチベーションを上げるためにどうしたら良いのか、モチベーションが下がったときにどうしたら良いのかについて書いてきました。
モチベーションを高めるために必要なのは、リハビリに取り組む準備をするということです。
そして準備を整えることによって、日々の成果を実感することです。
準備とは、以下のものでした。
リハビリに取り組む準備
- 何のためにリハビリをするのか・したいのかを考える(動機)
- リハビリに取り組むことで得たいもの・取り戻したいものを考える(目標)
- 何をどうしたらそれが得られるか・取り戻せるかを考える(方法)
これを全て一人で準備するというのは、なかなか難しいことかもしれません。
誰かの助けを必要とすることもあるでしょう。
一人でグルグル悩んでしまうくらいであれば、ご家族や友人に相談した方が良いかもしれません。
リハビリを中断してでも療法士に相談した方が良い場合もあるかもしれません。
誰かに頼るということは、人任せにするということとは違います。
誰かに頼るということを、自分自身で決断したということです。
人任せにせず、しっかりと準備をして、リハビリに取り組んでいただければと思います。

確かに、自分の中で目標設定が曖昧だったかもしれません。
担当の療法士さんに提案された目標をそのまま受け入れていたような…。
一度自分で考え直してみたいと思います。
それが良いと思います。
モチベーションが下がった状態で無理に続けることは、無意味どころか悪い影響が出てしまう場合もあります。
一度立ち止まってみる勇気も必要だと思います。
担当の療法士さんにその気持ちをそのまま伝えてみても良いと思いますよ。

そうは言っても、なかなか相談する相手がいないとか、担当の療法士に相談するのは気が引けるとか、そんな方もいらっしゃると思います。
私自身、ココナラでそのような相談を受けるサービスを提供しています。
顔を合わせることなく、メッセージのやり取りで相談をお受けするという形をとっていますので、いつでもどこでも相談できますし、もちろんプライバシーも守られます。
どうぞ、お気軽にご相談ください。
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