

理学療法士協会って入る意味あるのかな?
先輩も入っている人と入っていない人がいるし、会費も高いし。
メリットがあるなら入っても良いんだけど…
理学療法士協会に入る・入らないというのは個人の自由なので、どちらが良い悪いではないです。
ただ、よくわからないで入る・入らないを決めてしまうのはもったいない。
入会のメリット、同時に入会すべき人とそうでない人について解説していきます。

理学療法士協会に入会するかどうか、迷っている方は多いようです。
実際、私の職場でも理学療法士8名のうち、半数は退会しているようです。
確かに年会費もかかるし、メリットを感じないのであれば退会することも選択肢の一つとして有り得るものでしょう。
では、理学療法士協会に入会するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
結論から申し上げると、次の5つがあると考えています。
PT協会入会のメリット
- 協会が主催する研修会・勉強会に参加できる
- 学術活動する上で役立つ(学会発表・論文投稿)
- 理学療法士としての付加価値をつけ、差別化できる(登録・認定・専門)
- 理学療法士に関連した情報が得られる
- 理学療法士という職業の立場を守る活動に貢献できる
逆に言えば、これらの点を一切メリットと感じない方は入会する必要がないということになるでしょう。
以下では、上で挙げた5つのメリットについてそれぞれ解説します。
入会するメリットを知った上で、冷静に判断して、入会するかどうか、または退会するかどうかを判断していただきたいと思います。
この記事を書いた人

理学療法士のまじぃと申します。
理学療法士としては10年以上勤務経験があり、我ながらこの仕事にはマジメに取り組んできたと思います。
その証左として、脳卒中認定理学療法士を取得しており、これだけでも理学療法士協会の活動に参加していると言えるのではないかと考えています。
そんな私が、理学療法士協会に入会するメリットを解説していきます。
日本理学療法士協会とは?
そもそも、日本理学療法士協会とは何でしょうか。
日本理学療法士協会とは、日本で唯一の理学療法士のみで構成された職能団体です。
協会による統計情報の発表によると、令和4年3月末時点で約13万人の会員数となっています。
国民と理学療法士のための団体
協会の理念を見ると、次のような記載があります。
私たちは理学療法士として、すべてのひとの健康と幸福を実現するために
一、「尊厳ある自立」と、その「くらし」を守ります。
一、真に求められる理学療法科学の探求と創造、そして自らの技能と資質の向上に努力します。
一、必要な提言や社会的行動を精力的に行います。
公益社団法人日本理学療法士協会HP
理念をそのまま受け取ると、理学療法の発展を通して、国民の「くらし」や社会に貢献する団体と言えるかと思います。
理学療法士の地位向上のために動く団体
協会の活動内容を見てみると、主に次のようなものがあります。
- 刊行物の発行
- 各種調査と結果の公表
- 意見・要望書の提出(国等に対する)
- 事業に対する助成
- 学会や協会主催研修会の開催
詳しい事業内容は理学療法士協会のホームページをご参照いただきたいのですが、理学療法士に向けた活動と社会(国民)に向けた活動の両面があることをご理解いただけるのではないでしょうか。
理学療法士協会に入会するメリットは?
理学療法士協会に入会するメリットは冒頭でも挙げましたが、次の5つでした。
PT協会入会のメリット
- 協会が主催する研修会・勉強会に参加できる
- 学術活動する上で役立つ(学会発表・論文投稿)
- 理学療法士としての付加価値をつけ、差別化できる(登録・認定・専門理学療法士理学療法士)
- 理学療法士に関連した情報が得られる
- 理学療法士という職業の立場を守る活動に貢献できる
それぞれについて解説していきます。
入会するかどうかを判断する上での参考にしていただければと思います。
協会が主催する研修会・勉強会に参加できる
理学療法士協会では様々な研修会・勉強会が企画・実施されています。
協会のマイページにログインするとセミナー検索ができるのですが、セミナー区分は全て、対面・オンラインを含み、履修目的を登録理学療法士更新として検索してみたところ、申込み可能なセミナーは189件がヒットしました。
参加には費用がかかり、金額もピンキリではありますが、ザッと見た限りは1000〜2000円程度のものが多い印象でした。
ここで検索に引っかかる研修会の中には協会に所属していなくても受講可能なものも含まれていますが、協会員しか受講できないものもあります。
このように、理学療法士としての知識をアップデートしていく上では役立つ取り組みが、この協会主催の研修会・勉強会であり、理学療法士協会に入会するメリットの一つと言えるのではないかと思います。
学術活動する上で役立つ
理学療法士協会や各地の支部では、様々な学術集会が開催されます。
その中には誰でも(非会員でも)参加できるものもあれば、協会に入会していないと参加できないものもあります。
また、入会していなくても参加できるけれど、非会員は会員よりも参加費が高いという場合もあります。
また、次に説明する項目とも関連しますが、学術集会に参加することによって得られるポイントや点数を溜めることで登録理学療法士や認定・専門理学療法士といった付加価値を付けることができます。
理学療法士として学術活動を行うのであれば、このようなポイント・点数を活用した方がモチベーションを高めることに繋がるでしょう。
そのためには、やはり協会に入会していないとならないということになります。
理学療法士としての付加価値をつけ、差別化できる(登録・認定・専門理学療法士)
上の項目でも一部書いてしまいましたが、研修への参加や学術活動によって得られるポイントや点数を溜めることで、登録理学療法士や認定・専門理学療法士といった資格を得ることができます。
日本理学療法士協会では、2022年4月より新たな生涯学習制度へ移行されました。
この新制度では、登録理学療法士というものが新設され、これまでもあった認定および専門理学療法士の位置づけが若干変更されました。
これらの資格は、端的に言ってしまえば、理学療法士としての勉強を継続していること、学術活動等を行っているということを証明するものと言えるでしょう。
これらの資格を取得することで、理学療法士としての付加価値を付けることができ、理学療法士の中で差別化することができるものです。
日本理学療法士協会が公表している2022年6月時点のデータをみると、登録理学療法士の取得者は61,884人、認定理学療法士の取得者は14,594人、専門理学療法士の取得者は1,715人となっています。
日本理学療法士協会の総会員数が133,990人であることを考えると、登録・認定・専門理学療法士を取得していることは、何も取得していない無印の理学療法士との差別化ができることは間違いないでしょう。
ちなみに、登録理学療法士は制度移行に伴って一定の経験年数や新人プログラム修了者に自動的に付与されました。
5年後に更新する必要があり、かなりの数の登録理学療法士が更新しないことが予測されます。
となると、これから新たに登録理学療法士を取得する方や、自動的に付与された登録理学療法士を更新した方というのは、相対的に価値が高まることになると言えるでしょう。
登録理学療法士を前提とした上位資格に位置づけられる認定・専門理学療法士に関しては、より強い差別化になると言えるでしょう。
このように付加価値を付与することで差別化しようとすると、理学療法士協会に入会する必要があるわけです。
また、登録理学療法士や認定・専門理学療法士の取得には時間がかかります。
これから取得しようと少しでも考えるのであれば、早めに入会することをオススメします。
認定理学療法士を取得するメリットはこちらの記事でも書いています。
理学療法士に関連した情報が得られる
理学療法士に関する多くの情報は、会員にならずともアクセスできるものが非常に多くなりました。
協会ホームページにアクセスすれば、ログインしなくてもある程度の情報が公開されています。
しかし、所属していない協会のホームページにアクセスして能動的に情報を取得しようとする方は少数なのではないでしょうか。
また、所属していたとしても能動的に情報を取得しにホームページへ定期的にアクセスする方というのは少ないかもしれません。
理学療法士協会では、定期的にJPTA NEWSという会報誌が発行されます。
協会ホームページにアクセスの上ログインすればオンラインで読むこともできますが、会報誌は登録してある職場もしくは自宅に郵送されて届きます。
つまり、受動的に情報が得られるということです。
JPTA NEWSは理学療法士協会に入会していないと読むことができない(見せてもらうことは可能ですが)ため、理学療法士に関連した情報を得ることができるのは理学療法士協会に入会することのメリットの一つと言えるでしょう。
理学療法士という職業の立場を守る活動に貢献できる
これまで挙げてきた日本理学療法士協会に入会するメリットは、全て理学療法士としての価値を高めることに寄与するものです。
理学療法士であれば当然ご存知のように、理学療法士が医療保険や介護保険の分野で働く上では、国に対する働きかけが重要になります。
保険点数、つまり理学療法士として働くことで得られる報酬は国によって決定されるからです。
その他にも、理学療法士という職業がどのように社会に貢献できるのかを示していかなければ、その職業的な立場や地位を維持することはできなくなるでしょう。
国に対する働きかけや政治的な活動を直接的に行うのは協会の仕事ということになりますが、協会が活動する上で、協会員に関するデータを提示することが必要です。
組織率が低ければ大した発言力はなくなってしまいますし、示すデータが貧弱でも同じように発言力はなくなるでしょう。
冒頭にも書いたように、日本理学療法士協会というのは唯一の理学療法士のみで構成された職能団体であるため、理学療法士の社会的な地位を高めるために動く組織というのは他にありません。
理学療法士協会の影響力や発言力がなくなってしまえば、私たち理学療法士の社会的な立場は弱くなってしまうでしょう。
仮に○○療法士という新しい職業が新設され、理学療法士よりも高い組織力や実績によって理学療法士協会の影響力・発言力を超えてしまえば、現在の理学療法士の職域を奪われてしまうということにもなりかねません。
こういったことを防ぐためにも、日本理学療法士協会という組織は強くなければならず、そのためには理学療法士協会の組織力を高める、つまり一人でも多くの理学療法士が協会に入会している必要があると言えます。
つまり、理学療法士が理学療法士協会に所属すること自体が、自身の理学療法士という職業の立場を守る活動であると言えるのです。
まとめ

以上、理学療法士協会に入会する5つのメリットについて解説してきました。
改めて5つのメリットを示すと、以下のものでした。
PT協会入会のメリット
- 協会が主催する研修会・勉強会に参加できる
- 学術活動する上で役立つ(学会発表・論文投稿)
- 理学療法士としての付加価値をつけ、差別化できる(登録・認定・専門)
- 理学療法士に関連した情報が得られる
- 理学療法士という職業の立場を守る活動に貢献できる
このようなメリットを自身にとってのメリットであると思えるのであれば入会すべきだと思いますし、一切メリットとして感じないのであれば入会する必要はないと思います。
ちなみに今回はメリットに挙げませんでしたが、協会に入会することで保険が付帯されたり、クラブオフという割引制度が利用できたりします。
理学療法士としての研鑽に役立つ『リハノメ』も20%オフで利用できたりもします。
▼『リハノメ』を紹介した記事はこちら▼
日本理学療法士協会の年会費は10,000円、これに加えて各都道府県理学療法士協会の年会費がかかります。
例えば東京都理学療法士協会であれば、年会費は10,000円です。
日本理学療法士協会10,000円+東京都理学療法士協会10,000円=年間20,000円
月額換算すると、約1,667円/月です。
Netflixの月額料金がスタンダードプランで1,490円。プラミアムプランで1,980円です。
Netflixと同程度の金額でこれら5つのメリットが得られる理学療法士協会。
入会するか否か、退会するか否かを判断する上で参考にしていただければ幸いです。