

「理学療法士はオワコン」と言われるのを色々なところで見かけます。
理学療法士の方が言われていることもあり、将来のこととか不安になります。
なぜオワコンと言われるのでしょうか?
理学療法士になってしまった僕はこれからどうしたら良いのでしょうか?
「理学療法士はオワコン」と言っている理学療法士は多くなっているように思いますね。
では、なぜオワコンと言われるのか、冷静に考えてみましょう。
そうすることで、今後の対策も立てやすくなると思います。

「理学療法士はオワコン」と言ってネガキャン(ネガティブキャンペーン)をする人が増えているように思います。
しかもその大半が理学療法士自身によるものであるというのが悲しいところです。
では、そのような人たちが主張する理学療法士がオワコンである理由とは何でしょうか?
また、既に理学療法士である私たちはどのように考え、どのように動いたら良いのでしょうか?
冷静に考えてみたいと思います。
この記事の内容
- 理学療法士がオワコンと言われる理由
- 理学療法士がそんなに捨てたもんじゃない理由
- 理学療法士が今後とりうる対策
この記事を書いた人

理学療法士として10年以上働いてきました。
学会発表をしたり、論文を書いたり、どちらかと言えばしっかりと理学療法士という仕事に向き合い、取り組んできた部類に入ると自負しています。
この仕事が好きで、ネガキャンされる現状には嫌気がさしています。
若い理学療法士にも希望を持ってもらいたい。
そんな思いで、この記事を書いています。
理学療法士がオワコンと言われる理由は?
まず、理学療法士がオワコンと言われてしまう理由とは何なのでしょう?
そもそも『オワコン』とは、正式には『終わったコンテンツ』のことです。
オワコンとは、主に一般ユーザー又は個人ユーザーに飽きられてしまい、一時は栄えていたが現在では見捨てられてしまったこと、ブームが去って流行遅れになったこと、および時代に合わなくなった漫画・アニメや商品・サービス[2][3][4]などを意味する日本のインターネットスラングである。煽り文句として使われることが多い。 おわコン、終わコンとも表記される。
Wikipedia オワコン
では、理学療法士がオワコンと言われる理由とは何なのでしょうか?
よく見かける3つの理由を見ていきたいと思います。
給料が安い
理学療法士がオワコンと言われてしまう一番の理由として、給料の安さがあげられます。
厚生労働省による令和3年賃金構造基本統計調査によると、理学療法士の平均年収は約420万円です。
一方、国税庁による令和2年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-によると、日本人の平均年収は約433万円となっています。
日本人全体の平均年収と比較すると、理学療法士の平均年収は安いということになります。
しかも、理学療法士として働く以上、医療保険もしくは介護保険の領域内で働く場合が多くなります。
この場合、単位時間あたりの報酬額は国によって決められているため、頑張ったところで収益が増えない=給料が上がらないということになります。
自分の頑張り次第で会社の収益を増やし、それに伴って給料も増えていくというような一般企業の形態とは異なることから、理学療法士はオワコンと言われる場合が多いでしょう。
ちなみに、厚生労働省による調査では理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士は同一に分類されているため、給料の安さはこれらの業種全てに言えることとなります。
理学療法士が増えすぎて飽和する
ご存知の通り、理学療法士は年々増え続けています。
医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士需給分科会によると、人口10万人に対する理学療法士就業者数は163人、2040年には278人まで増加すると予測されています。
では、供給が増えている現状に対して需要はどのようになっているのでしょう。
現状、理学療法士が対象とする患者さん・利用者さんの多くは高齢者と呼ばれる65歳以上の方です。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、65歳以上の老年人口は2042年にピークの3,935万人となったあと減少に転じ、2065年には3,381万人になると予想されます。
供給が需要を上回ると、何が起きるのでしょうか。
働く場所が減り、就職することができなくなるというのがわかりやすいところですね。
最近言われるのは、違う業種として雇用されるという話です。
介護職として働くことになるんじゃないか、などの予想がされています。
それもあり得ない未来ではない気もしますね。
仕事内容・責任・生涯学習
上記の『給料の安さ』『増えすぎて飽和する』という状況であるにも関わらず、その業務内容というのはかなりの責任を伴うように感じます。
そして、責任を果たすために勉強を続けなければならない。
勉強したからといって、新しい資格を取得したからといって、給料が上がるわけでもありません。
Twitterを見ていたり、新人・若手の話を聞いていると、勉強することにメリットを感じられないという方が多い印象を受けます。
逆に、マジメに勉強に取り組み過ぎる方であれば、責任感が強すぎる方であれば、頑張り過ぎて疲弊してしまう場合というのも少なくないでしょう。
若いうちは勉強に打ち込んでいたけれど、結婚や出産を経て、勉強しなくなり(出来なくなり)離脱していった方というのもこれまで沢山見てきました。
理学療法士もそんなに捨てたもんじゃない理由とは?
ここまで理学療法士がオワコンと言われる理由を挙げてきました。
ネガティブな話ばかりで嫌になりますね。
ここからは、理学療法士がまだそんなに捨てたもんじゃない、オワコンではない理由を解説していきます。
収入は増やせる
早い話、副業という手段が手っ取り早いのではないでしょうか。
理学療法士が理学療法士として得られる給与収入は、上で書いたように、大幅に増やすことは難しいでしょう。
しかしそれは、勤務する病院や施設から得られる給与収入のみの話です。
それ以外に収入の柱を持っておくことで、収入を増やしていくことは可能です。
理学療法士という仕事では、当たり前のようにPDCAを回します。
PDCAとは、次の4つのプロセスを繰り返し循環させ、行動や計画を改善していきます。
PDCA4つのプロセス
- Plan(計画を立てる)
- Do(計画を実行する)
- Check(行動を評価)
- Act(改善し、次回に繋げる)
このプロセス、理学療法の通常業務に似ていると思いませんか?
患者さんや利用者さんに対して、評価をし、計画を立て、実行し、介入の結果を検証して計画を修正し、また実行(介入)する。
このPDCAは多くの企業で新入社員が最初に教わることの一つで、業務遂行と業務改善のために必須の行動パターンと言えます。
PDCAは様々な取り組みに活かすことができ、もしもあなたが副業に取り組もうと思ったときにも助けになってくれる考え方・行動パターンであると言えるのです。
理学療法士として臨床にしっかりと向き合うほど、PDCAによって自身の計画・行動を改善する精度は向上していきます。
「理学療法士はオワコンだから…」などと言って適当に取り組むより、この仕事を通して経験できること・学べることを多く取り入れることによって、副業での収入を得やすくなるのではないでしょうか。
差別化する方法は増えている
理学療法士の供給が社会の需要を上回ってしまい、理学療法士の選別が始まったとします。
つまり、就職先が限られて狭い門になってしまったり、一度就職できてもリストラが行われてしまうような状況です。
仮にそうなってしまった場合、選ばれるのはどのような理学療法士でしょうか?
病院や会社の考え方・経営戦略によっても異なりますが、大きく次の2パターンが選ばれる療法士であると言えるのではないでしょうか。
- 自己研鑽に取り組み、他と差別化したハイスペック理学療法士
- 安い給料で雇うことができる、扱いやすい理学療法士
この2つのうち自分はどちらを目指そうか、と考えたとき、事実上前者を目指すしかないことになります。
後者の扱いやすい理学療法士というのは、新卒理学療法士以上に扱いやすい理学療法士というのは有り得ません。
初任給が最も安く、多くの場合(少しずつでも)昇級していきます。
年数を重ねた理学療法士は、給料が上がっていく上に、立場も上がっていくため扱いづらくなります。
経営戦略によっては、ベテランを切って新人を多く入れるという戦略をとる企業・病院が出てきてもおかしくはありません。
これは研鑽をしていようとしていまいと、年数を重ねれば同じことだと言えます。
ということは、研鑽をしないでただ年数を重ねるよりは、自己研鑽に取り組んで他との差別化を図る方が現実的な戦略なのではないかと考えられるのです。
理学療法士として差別化できる資格制度として、登録理学療法士や認定・専門理学療法士があります。
制度自体に賛否ありますが、取得することで差別化できることは間違いないでしょう。
▼認定理学療法士についてはこちら▼
差別化する方法は理学療法士という枠の中だけではありません。
異なる分野の資格を取得することで理学療法士としての業務に活かせる場合は多いでしょうし、他との差別化にもなります。
また、上で解説したような副業に取り組み、そこで得た知識や経験を理学療法士としての業務に還元することもできます。
このように、他と差別化していく方法はいくらでもあるのです。
病院や企業といった組織との相性は経営戦略と理学療法士の個性とのマッチングなので、万人受けするような方法はないと思われますが、少なくとも自己研鑽しないで年数だけ積み重ねるよりは、様々なことに取り組んで自分を磨いていく方が不安も減らせるのではないでしょうか。
転職しても能力を活かせる
どうしても理学療法士という仕事が辛く、続けるのが難しい場合もあると思います。
大げさかもしれませんが、理学療法士は他者の人生に影響を及ぼす仕事です。
このことをプレッシャーに感じてしまう方も多いでしょう。
そのような場合には、無理に続ける必要はなく、全く別の業種への転職も視野に入れて考えるべきだと思います。
理学療法士の免許を取得しているからといって、理学療法士として働かなければならないなんて決まりはありません。
では、そうなってしまった場合、理学療法士としてこれまで取り組んできた経験は全て無駄になってしまうのでしょうか?
そんなことはありません。
理学療法士という仕事を通じて培ったものの中には、転職してからも十分活かせるものは多くあると思います。
例えば、次のようなものが挙げられます。
- 勉強する習慣
- PDCAサイクルを回す習慣
- コミュニケーション能力
- 人間一般に関する知識
全く違う業種に転職するということは、新しい知識や技術を一から学んでいくということになります。
そんなとき、勉強する習慣があるのは非常に大きな強みとなるでしょう。
理学療法士だけがたくさん勉強しているような書き方になっていたかもしれませんが、どんな仕事に就いた方も少なからず勉強しなければなりません。
そこでなかなか勉強する習慣がつかない方というのは、成果をなかなか上がりづらいでしょう。
また、業務を遂行する中で自然にPDCAサイクルを回す習慣がついているるのは、どのような仕事においても有利に働くのではないでしょうか。
業種によっては、コミュニケーション能力や人間一般に関する知識が役立つこともあるでしょう。
このように、理学療法士として得たものは、理学療法士を辞めたとしても全てが無駄になるわけではないと考えられるのです。
まとめ

以上、『理学療法士はオワコン?そんなに捨てたもんじゃない3つの理由と対策』について解説してきました。
オワコンと言われる理由と対策をまとめると、次の3つとなります。
- 安い給料は副業で増やす
- 増えすぎて飽和したら、差別化することが大切
- 仕事内容が向いていなければ、転職しても経験は活かせる
理学療法士を続けるにしても、理学療法士を辞めてしまうにしても、理学療法士として働いている間は研鑽や勉強にしっかりと取り組んだ方が、その先は間違いなく明るいものになるということは伝わったでしょうか?
「理学療法士はオワコン」と言っている理学療法士の多くは、仮に理学療法士以外の仕事に就いたとしても同じようなことを言っている気がしませんか?
仕事への向き合い方は人それぞれですし、研鑽や勉強を強要するつもりはありません。
しかし、将来に不安を持っているのであればこそ、理学療法士という仕事に真剣に取り組むことが不安の解消・軽減につながるのではないでしょうか。