

転職先を探しているけれど、若いうちはやっぱり勉強できるところで働きたいな。
『勉強できる』を売りにしている病院を探そう。
そのように考える療法士は多いと思うのですが、大きな勘違いがあると思います。
私も2回転職していますが、その実体験に基づいて、職場選びの勘違いと選ぶときの3つのポイントをお話します。

理学療法士は『生涯学習』と言われるように、就職してからも勉強を続ける必要があります。
それをすでに受け入れ、むしろ勉強したいと考えている療法士は多いでしょう。
そして、モチベーションの高い、マジメな療法士ほど、「勉強できるところに就職したい!」と考える傾向があるように思います。
それは学生が新卒で就職する場所を選ぶときもそうですし、一旦就職してから転職するとなったときにもそうです。
実際、私もそうでした。
2回の転職を経験した私が、就職・転職先を選ぶときの勘違いと、実際に考慮した方が良いと考える3つのポイントについて解説します。
この記事はこんな方にオススメ
- 就職先選びで悩んでいる学生さん
- 転職を考えている現役療法士
- 求人や教育システムの構築を担当している管理職
この記事を書いた人

新卒で回復期病棟のある総合病院に就職。
その後2回の転職を経験し、現在は訪問看護ステーションに勤務している。
「勉強したい」という希望を中心に就職先を選んでいたが、この経験を通してある勘違いに気付く。
こんなことがありました(実体験)
私が養成校を卒業して理学療法士として最初に就職したのは、10年以上前になります。
とにかく「色んなことを勉強したい!」「勉強できる職場に就職したい!」というのを第一に考えて就職先を選び、場所も地元から離れたところにある回復期病棟を持つ総合病院に就職します。
就職して割とすぐに気付くのですが、自分は「勉強したい!」というモチベーションで選んで就職した職場なのに、そこに就職していた同期(理学療法士)の中には勉強したくない人もいたのです。
今ではそれが悪いことではないと冷静に思えるのですが、当時は「なぜ勉強しないのだろう?」と怒りに近い疑問を持っていたのを覚えています。
その後2回の転職を経験しましたが、どの職場でも『勉強したくない人』『勉強の意欲が低い人』というのは一定数存在していました。
そこで次のようなことに気付きました。
これがこの記事の結論です。
実体験を通して気付いた結論
- 『自分の勉強に必要な条件が揃った職場』を選ぼう
- 自分のやりたいことを最優先すべき
- 職場選びは自分のスタイルに合うか合わないかが大切
- どこに就職したって大丈夫(転職できる)
以上の結論について、詳しく解説していきます。
就職・転職先を選ぶときの勘違いとは?

繰り返しになりますが、私自身も就職先・転職先を選ぶ際には『勉強できる職場』というのを求めて求人情報なんかを見ていました。
この記事を読まれているあなたも、そんな『勉強できる職場』を探している・選んでいる最中かもしれません。
ある意味ではそんなあなたの理想を打ち砕くことになるかもしれませんが、残念ながら『勉強できる職場』というのは勘違いと言うか、幻想です。
詳しく解説していきます。
勉強できる職場というのは幻想
身も蓋もないかもしれませんが、『勉強できる職場』というのは幻想です。
もちろん、『新人に対する教育体制が整った職場』だったり、研鑽に役立つ制度(学会参加費の支給など)がある職場は存在します。
最近は少なくなったかもしれませんが、症例報告・検討が義務づけられているような職場もあります。
しかし、このような職場は、そういった制度や決まりがあるだけです。
そこに就職したからといって、勉強できるということにはならないのです。
勉強するもしないも自分次第
仮に、学会への参加費が全額支給される職場に就職したとしましょう。
極端な話ですが、この制度は「学会に参加します!」という意思表示をしなければ、自分から参加しようと動かなければ、何も意味はありません。
制度が存在しても、その制度を利用するかしないかは自分次第なのです。
仮に、職場内での症例報告を定期的に行うことが義務づけられている職場に就職したとしましょう。
症例報告は義務づけられているので、行います。
しかし、特に新しいトピックを入れる訳でもなく、毎回毎回同じようなケースを、同じような思考過程で、同じような文面で発表したとします。
これは勉強している・できていると言えるのでしょうか?
このような勉強・仕事に向かうスタンスを注意して指導してくれる先輩がいるかもしれません。
しかし、そんな先輩の指導やアドバイスを聞き入れるかどうかすら、自分次第なのです。
職場は利用するくらいでちょうど良い
もしこの記事を読まれているあなたが運営側や管理者側だった場合、少し嫌な言い方かもしれませんね。
しかし、職場というのは働く人にとっては利用するものくらいに考えるべきだと考えています。
帰属意識を持てる、一丸となって取り組める(臨床や研究など)、というような職場はもちろん素晴らしい職場です。
しかし、そういった取り組みを強要できるような時代ではなくなりましたし、強要したところで従う職員も多くないでしょう。
働く側としては、候補となった職場に「勉強させてもらう」なんて考えてはいけないのです。
この職場にはこういう制度があって、自分はこの制度を上手く利用できるだろう。だからここに就職しよう。
このように、職場に存在している制度を自分の研鑽に利用できるかどうかを判断基準にするくらいがちょうど良いのです。
だからこそ職場や管理者の側は、利用しやすい制度設計を考える必要がありますし、求められている制度を創出・制定することが必要となります。
『勉強できる職場』を探すのではなく、『自分が勉強するために必要な条件が揃った職場』を探すべきなのです。
就職・転職先を選ぶ上での3つのポイントとは?
ここまで、『勉強できる職場』というのは幻想であり、『自分が勉強するために必要な条件が揃った職場』を探し、選ぶべきだということを解説してきました。
ここからは、そんな『自分が勉強するために必要な条件が揃った職場』を探し選ぶ上でのポイントを解説していきます。
先に3つのポイントを挙げると、次のようなものになります。
職場選びの3つのポイント
- 自分のやりたいことを明確にする
- 自分の特徴・勉強のスタイルに合わせた職場選びを
- どこに就職したって大丈夫
これら3つのポイントについて解説していきますね。
自分のやりたいことを明確にする
まず、自分のやりたいことを明確にすることが何よりも大切です。
特に新卒での就職先を選ぶ場合には、『やりたいこと』と言われてもあまり明確になっていないでしょう。
それでも、可能な限り明確にする必要があります。
例えば、大まかに対象者の属性は考えておかなければ選べません。
対象としたい疾患は整形外科疾患なのか脳血管疾患なのか。
急性期なのか、回復期なのか、維持期(生活期)なのか。
最近は新卒から維持期(生活期)に就職できるような教育課程として設計されているので、新卒だからと言って必ずしも病院に就職しなくて良くなってきていますね。
他にも、臨床研究をして学会発表を積極的にしたい、論文を書きたい、といったことを考えている方もいるかもしれません。
このように、現時点で明確にできる限りの『やりたいこと』を明確にしておきましょう。
そして、それを実現できる・しやすくする制度がある就職先を探して選ぶべきです。
自分の特徴・勉強のスタイルに合わせた職場選びを
自分の特徴は理解できているでしょうか?
特徴というのは、自分自身の強みだったり、自分に合った勉強の仕方といったもののことです。
もしもあなたが一人で勉強できなくて、誰かと一緒に勉強したいという場合、同僚の多い職場を選ぶべきかもしれません。
もしもあなたが誰かに強制された方が勉強しやすいと感じるのであれば、そうした制度・決まりのある職場を選ぶべきでしょう。
もしもあなたが一人で黙々と勉強や研究に没頭したいと考えるのであれば、自主的な研鑽を補助してくれるような職場を選ぶと、制度を十分に役立てることができるでしょう。
このように、人それぞれの強みや特徴を持っています。
まずはそんな自分の特徴を把握し、それに合わせた職場を選ぶことが大切です。
もしもあなたが自分の強みや勉強のスタイルをまだハッキリさせることができていないのであれば、このような記事が参考になるかもしれません。
どこに就職したって大丈夫
職場選びのポイントを解説してきましたが、正直に言えば就職してみるまでわからない部分はあります。
それは、職場側が採用の段階で隠していたからとかそういうことではなく、本当に知り得ない情報がたくさんあるということです。
その職場で働く人達の中で、何割が勉強・研鑽に積極的で、あまり勉強する気のない人がどれくらいいて、なんてことは見学や就職説明会の段階で聞く訳にはいきませんよね。
仮に、スタッフの何割が学会発表経験済みで…のようなデータを示されたとしても、それを全員が喜んでやったかどうかはわからないですし、データからは読み取れない空気感のようなものを就職してしまってから感じる場合も多いはずです。
そうしたことを踏まえると、こんなことを考えて不安になってしまう方は多いでしょう。
就職した職場が思ったのと違う雰囲気だったらどうしよう…
多かれ少なかれ、誰もがそんな不安や心配をかかえて就職することだと思います。
大丈夫です。
安心してください。
転職できますから(笑)
特に新卒の方は最初の職場選びで必要以上に重く考えてしまいがちです。
私自身もそうでしたし、それくらい真剣に考えることも必要かもしれません。
しかし、最初の職場選びに失敗したからといって、人生が終わるわけではありません。
私は最初の職場では4年ほど働きましたが、今となっては現職の訪問看護ステーションの方が長く働いています。
あれだけ悩んで決めた最初の職場だったにも関わらずです。
職場選びを軽く考えるべきなどと言うつもりはありませんが、必要以上に悩みすぎることはないのかな、ということが伝われば幸いです。
まとめ

以上、療法士が就職・転職先を選ぶときの勘違いと3つのポイントについて解説してきました。
冒頭で挙げた結論を改めて書いておくと、次の4つでした。
実体験を通して気付いた結論
- 『自分の勉強に必要な条件が揃った職場』を選ぼう
- 自分のやりたいことを最優先すべき
- 職場選びは自分のスタイルに合うか合わないかが大切
- どこに就職したって大丈夫(転職できる)
あなたが最初の就職先を選んだり、転職先を選ぶときの参考になれば幸いです。